イタリアサッカー界で今最も注目される若手ストライカー、フランチェスコ・カマルダ。
「ミランの至宝」と呼ばれる彼が、2025-26シーズンにレッチェへレンタル移籍しました。
しかしその契約内容はただの武者修行ではなく、セリエAでも極めて異例とされる「買い戻し条項」と「出場ボーナス」が含まれているのです。
この記事では、カマルダのプロフィール、レッチェとの契約詳細、一般的なレンタル契約との違い、そしてこの契約が持つ意味を徹底解説します。
フランチェスコ・カマルダとは?
2008年3月10日生まれのカマルダは、ミラノ出身のフォワード。わずか15歳でACミランのトップチームに帯同し、16歳でセリエAデビューを果たした史上最年少選手のひとりとして記録を残しました。
ユース年代では驚異的な得点力を誇り、1シーズンで100ゴール以上を挙げたとも言われる逸材です。
ポジション:センターフォワード
特徴: 左右両足での決定力、フィジカルの強さ、得点嗅覚、若さに似合わぬ冷静さ
評価: 「イタリアサッカーの未来」「ネクスト・インザーギ」と称されることも多い
ACミランはすでに2028年までの長期契約を締結しており、クラブとしても絶対に手放したくない存在です。
一方でトップチームの競争は激しく、若手に十分な出場時間を保証するのは難しいため、成長の場を求めてレッチェへのレンタル移籍が決断されました。
レッチェとの契約内容の詳細
今回のレンタル契約には、通常のローン移籍とは異なる複雑な条項が盛り込まれています。
- 契約形態: 1シーズンのレンタル
- 買い取りオプション: レッチェが €3,000,000 で完全移籍に切り替え可能
- 買い戻し条項: ミランが €4,000,000 で再獲得可能
- インセンティブ:
- 出場1試合ごとに €75,000 がレッチェに支払われる
- 1ゴールごとに €100,000 が追加で支払われる
- ミランとの契約延長: レンタルと同時に、ミランとの契約は2028年6月まで更新済み
この契約により、レッチェは「起用すればするほど収益を得られる」ため、若手を積極的に起用する強いインセンティブが生まれます。一方ミランは、万が一ブレイクしても買い戻せる安心感を確保。まさに「双方が得をする」設計になっているのです。
一般的なレンタル契約との違い
通常のレンタル移籍
多くのクラブが利用するレンタル契約は、以下のような形式です。
- シンプルなレンタル(年俸や費用分担のみ)
- 買い取りオプション付きレンタル
- 一定条件で買い取り義務化(出場数、残留、CL出場権獲得など)
イタリア特有の「買い取り+買い戻し」
セリエAでは「riscatto(買い取り)/controriscatto(買い戻し)」が定着しています。
過去にはモラタ(R.マドリー⇄ユヴェントス)やブラヒム・ディアス(R.マドリー⇄ミラン)がこの仕組みを経験しました。
ただし、それは主に完成度の高い選手に適用されるケースが多く、10代の選手に適用されるのは稀です。
カマルダ契約の特殊性
今回のカマルダのケースで最も注目されるのは、「出場や得点に応じて親クラブがレンタル先へ金銭を支払う」点です。
これは「選手を使えば使うほど得になる」というシステムで、若手の起用保証を実質的に作り出しています。
欧州の移籍市場でも具体的な金額まで公開されるのは極めて珍しく、実質的には「プレー時間をお金で確保する契約」と言えるでしょう。
なぜ異例の契約になったのか?
ミランの戦略
- 才能を持つ選手を安価で失わないための「買い戻し権」
- 競争の激しいトップチームでは難しい出場機会を確保するため
- 価値をさらに高め、将来的にチームの主力へ成長させる目的
レッチェのメリット
- 低リスクで才能あるストライカーを獲得可能
- 起用すればするほど収益が入るためモチベーションが高い
- 残留争いの中で得点力を強化できる可能性
過去の事例との比較
・買い取り+買い戻し: ブラヒム・ディアス、モラタ
・条件付き義務: キエーザ(フィオレンティーナ→ユヴェントス)
・出場インセンティブ: 公表例はほとんどなく、今回のカマルダのケースが際立って異例
まとめ:カマルダ契約の意味
カマルダのレッチェ移籍は、単なる「若手レンタル」ではなく、セリエAの新しい契約モデルを象徴するものです。
成功すれば、今後は他クラブでも「若手起用を保証するインセンティブ型レンタル」が増えていく可能性があります。
ミランにとっては未来のエースを育成する仕組み、レッチェにとっては戦力強化と収益の両立、そしてカマルダ本人にとってはキャリアの大きなステップアップになるでしょう。


